2011年5月25日水曜日

「成層圏」

 2011年度、Gallery αMの展覧会企画「成層圏 Stratosphere」(主催:武蔵野美術大学)の出展アーティスト、林加奈子、宮永亮、村山悟郎の3人によるブログリレーを公開いたします。この展覧会の詳細情報は下記URLにてご覧ください。

http://www.musabi.ac.jp/gallery/exhibition.html

この「成層圏 Stratosphere」の特徴の一つは、高橋瑞木さん、鈴木勝雄さん、そして田中正之さんの3人のキュレーターによって企画されているところにあります。展覧会の概要において、鈴木氏はこう述べています。『美術に特有の表現の強度が、複数の意味の層が重なりあって、豊かな多義性を発揮することにある』。また、『意味を発生させる層が流動性を失うことなく曖昧に連なり、その各層を想像力が横断的に飛翔することを予感させる空間として「成層圏」という語を読み替えていきたい』と。3人はそれに呼応するようにそれぞれに異なる軸のテーマを設定しています。一つの「成層圏」という領域の中に多義的なテーマが内包されているのです。
「風景の再起動 Reactivating Landscapes」(高橋氏:宮永)
「行為の装填 Charging Action」(鈴木氏:林)
「「私」のゆくえ Tracing the “Self”」(田中氏:村山)

「成層圏」が成立する条件が流動性にあるのだとすれば、アーティストも単にそれぞれの個展を完遂するにとどまらず、それに応じる必要があると考えました。現在、林と村山はロンドンで、宮永は京都で活動を展開しています。そこでネット空間を利用したブログリレーを企画するに至りました。ノンリニアにそれぞれのまなざしが交錯する場として。
近代が社会を専門分化していった過程のなかで、アートにおいても「認識/社会/主体」といったテーマや、「メディア/行為/造形」といったメチエの分断が引き起こされているのではないでしょうか?私たちはそれらを”横断的に飛翔”しなければならないと考えています。特に3.11以降、そのことを強く感じているのです。「成層圏」というコトバにそうした意志を託して、このブログの開始を宣言したいと思います。

村山悟郎

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