2011年7月2日土曜日

ノンリニア

はじめまして、村山悟郎です。僕は本年12月から田中正之さんのキュレーションで展覧会をつくります。テーマは「「私」のゆくえ Tracing the "Self"」です。
宮永さんが「ノンリニア」の概念に触れながら、映像における時間のアイデアを示してくれました。おそらくそれは「ノンリニア編集」という映像編集の手法からくるものだと思います。

一方で、僕にとっての「ノンリニア」はまた少し意味合いが違っています。どちらかといえばそれは「非線形科学」(Nonlinear Science)のアイデアに大きな影響を受けているのです。この科学は複雑系のような非線形な現象(ex. 気象、経済、社会、生命)を扱います。例えば、ライフゲーム(Conway’s Game of Life)というコンピュータ上での計算モデルがあります。これは二次元セルオートマトンで生命の振る舞いをシミュレートするものです。無限に広がる平面空間を格子状に区切り(不連続な空間)、一つ一つの格子はセルとよばれ、0か1の二つの状態を持っています。時間は世代(ステップ)ごとに発展して(不連続な時間)、セルの次のステップの状態は近傍8つのセルの状態の配列(ローカルなルール)によって決まります。ローカルなルール(近傍の値によって自身の次の状態が決定する)は非常に高密度で複雑な相互作用をもたらします。ですからセルの状態の初期値によっては実に多様なパターンが獲得されてゆくのです。

このノンリニアな相互作用はコミュニケーションを構成要素にした社会的位相においても、多く見いだされると思います。周知の通りTwitterはネットワークメディアのなかでもノンリニアなコミュニケーションを実現しているわけです(事実、宮永さんとの交流が始まったのもTwitterからでした)。このブログも三人の不確定な要素が内装されることでノンリニアな相互作用を含む「成層圏」を形成できるのではないかと期待しています。

次回は僕も、田中正之さんが示したテーマについて考えてゆきたいと思います。

村山悟郎

0 件のコメント:

コメントを投稿